日本話し方センター社長・横田章剛のブログ

2019年12月16日1つ改善すると他も改善していく


元マッキンゼーの著名なコンサルタントである大前研一さんの言葉に、次の様なものがあります。

「私の経験では、ほとんどの場合、5割以上のウエートを持っている原因は一つだけ存在する。
たくさん問題がありそうに思えても、1つの原因が現象としていろいろな形で問題として出てくるだけなのだ。



私は、この言葉に接して、なるほどな、と思いました。

そして、最近、このことは、話し方の改善にも当てはまるな、と気付きました。

それは、日本話し方センターの話し方教室ベーシックコースを受講されている方には、1つのことが改善できたのをきっかけに、他の面も良くなっていく方がたくさんいらっしゃるからです。

 

ある方は、講師から、とにかく今よりも大きな声で話すようアドバイスをされました。

思い切ってやってみると、大きな声でスピーチができました。

ご自身でもその声の大きさ、声の勢いの強さが実感できたそうで、それが自信につながり、心に余裕ができました。

そして、その余裕が表情に表れて、自信に裏打ちされた笑顔が出るようになりました。

そうなると、自分の話を自分で聞ける余裕も生まれ、ここはこの表現の方がいい、全体的にもっとゆっくり話した方がいい、などと自分で改善できるようになったそうです。

その方は、修了されるときには、自信に満ちた堂々としたお話をされるようになりました。

 

また、別の方は、お酒を飲み過ぎてカバンをなくしてしまった、もう今後はお酒は飲まないと決めた、という話をされました。

この話の冒頭に「もうお酒はやめた、という話をします。」と普通に言われたのを聞いた講師が、

「そこは感情を込めて話してみてください。」とアドバイスしました。

その方はアドバイスを素直に受け止め、「もう、お酒はやめた!!!」と、もう金輪際飲まないぞ!という感じで勢いよく話されました。

とても気持ちが乗った話し方で、聞いていて心に響きました。

そうすると、それ以降、その方は話に感情が出せるようになり、少し引っ込み思案だった話し方が、とても力強くニュアンス豊かになりました。

それにつれて、笑顔も出るようになりました。それまでは少し硬い表情でぎこちない感じだったのです。

そして話の内容もどんどん吟味されて、聴き応えのあるものになっていきました。

 

これらの例のように、話し方の1つの面が改善されると、他の面も改善されていく方が多くいらっしゃいます。

話し方の場合、失敗体験が積み重なった苦手意識が、話し方上達の大きな障害になっていることが多いようです。

しかし、話し方の1つのことを改善することで、苦手意識が薄れ、他の面も改善されていく。

そうした成功体験を重ねていくことで、苦手意識がどんどんなくなっていくように感じます。

これからも、話し方教室を受講される方には、1つの面を改善することを意識していただき、その改善体験をきっかけに更に上達をしていっていただきたい。

そう思っています。
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